スタッフブログ

代表の執務日誌

2015/06/01
代表者の予選

今日から6月。

いよいよ総会シーズンに突入ですね。


日本には、3月決算の会社が数多くありますので、
これに比例して、6月は決算承認のための定時株主総会が開催される時期になります。

もっとも、6月の総会の前段階として、
5月中旬から6月初旬にかけて、
決算承認と総会に付議する事項を決めるための役員会が通常開かれますので、
私たちへの相談は、ほぼ5月に集中します。

寄せられる相談のメインは、やはり役員の改選ではないでしょうか。

定時総会をきちんと開催する会社・法人の場合、
役員の任期は2年に設定していることがほとんどですから、
2社に1社は、役員の改選時期を迎えるという感じです。


そんな中、最近、続けて代表者の予選に関する質問をいただきました。


要は、6月の総会をもって役員が改選になるところ、
改選後の役員は、事前に決まっているので、
総会後の役員会で選定するはずの代表者を予め5月の役員会で選定しておくことは可能か?
という論点です。


結論からいえば、原則、可能ということになります。


しかし、いくつか問題があります。


つまり、改選前後で顔ぶれに変更がなければ、
特に問題なく、代表者の予選は有効となります。

一方、一致しない場合は、予選の有効性判断には、
疑義が生じる余地が生まれます。

※役員会を設置せず、代表者を互選する旨の定款規程がある場合は、
  完全一致は必須で、疑義が生じることはないと思います。


例えば、改選前ABCという役員がいて、
改選後、ABは退任し、DEが新任された場合、
改選前のABCによる役員会でCを代表者として予選した場合の有効性はどうなるのでしょうか?


現在の登記実務では、ABCによる予選の議事録を添付しても、補正しろとなります。


CDEの役員会議事録を付けろと言われはずです。


しかし、著名な、金子登志雄先生は、この運用に異議を唱えております。


ABCによる予選も、
役員会という機関が決定したものであるから、
それは、ABの退任後も有効であるはずだという前提に立ったうえで、
それが、改選後の役員がABCの場合は有効であるにもかかわらず、
改選後の役員がCDEの場合は、無効であるという論理は、
整合性が取れていないという鋭いご指摘です。


構成人員の一致には着目せず、
実体法を根拠として、役員会という意思決定機関としての機能に着目したご意見です。


私も、この意見に激しく同意します。


仮に、DEがCの代表者就任に反対の場合、再度、役員会を開催することで、
Cの就任を回避することもできますので、
ますます、これを認めない合理的理由はないように考えます。


もっとも、現在の登記実務では、100%通らないと思いますので、
顧客には、完全一致以外は、難しいと回答せざる得ませんが、
一度、法務局と理論で戦ってみたいなと思う論点であります。


チャレンジングなクライアントがいれば是非!

赤尾

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